零細企業から超大手企業へ!営業が転職を成功させるための7つのヒント

営業職の転職

私、えいまるは、いわゆる零細企業で雑用係の契約社員からキャリアをスタートさせて、いまは大手企業の正社員として営業を担当しています。

一般的に、中小企業から大企業への転職は難しいとされています。特に営業職ではスキルなどの客観評価が難しく、エンジニアと違って売り手市場になりにくいとも考えられます。

一番の王道は、転職サイトやエージェントでのマッチングだと思いますが、私のように、個人の努力で道を切り開いていくことも十分可能だと思っています。

ここでは、特に「営業職としてのキャリアアップ」という観点で、転職で成功するヒントをご紹介します。

私のキャリア

なぜこれらのヒントにたどり着いたのかを説明するために、私のキャリアをご紹介します。

  • コンテンツ制作会社(社員5名くらい)に入社(契約社員)
  • ソフトウェア開発会社(社員100名くらい)に入社
  • ベンチャーの専門商社(社員20名くらい)に入社
  • ベンチャー企業が閉業、親会社の商社(社員100名くらい)に事業移管・転籍
  • 協業先の会社(社員500名くらい)から声をかけてもらい転職
  • 協業先が属する企業グループの本社(社員数十万人)から声をかけてもらい転職

私は、大学を卒業後、PCの使い方さえも知らない状態でキャリアをスタートし、4回転職をしてきました。日本の大企業はあまりお好みではない転職回数の多さですよね。

実際にはスマートな転職・キャリア戦略などなく、見えてきた課題を一つずつクリアしていった結果の積み重ねでした。
今になってみると「ああ、この時のこの行動が良かったんだな」と整理できるようになってきました。十分に再現性があるものだと思うので、7つのヒントとしてまとめてみました。

20代の自分がこれを知っていたらもっと早く収入アップできたのに!

ヒント1:PCスキルがないと雑用係もできない

大学での体系的な就職活動もせずに、インターネットでみつけた募集をみてコンテンツ制作会社に就職しました。
会社といっても、社長が個人事業主で、社員は5人ほど。将来はプロデューサーだ!と無謀な意気込みをもっていました。

職種はADとなっていましたが、実際には、ただの雑用係。
いや、雑用係として求められることさえもロクにできない、ポンコツでした。

致命的だったのはPCスキルでした。
コンテンツを作るために必要なリサーチや、その結果を資料にまとめること、さらにこれをメールで関係者に送ること、など、何一つまともにできず…。
先輩達は忙しく、私にPCのイロハを伝える暇などありません。社長からは「PC使えるって履歴書に書いてあったじゃん!」と恨み節まで出る始末。

自身のポンコツぶりを認識した私は、とにかくPCに習熟しないと、どんな仕事もできないと考え、体系立てて学習できそうな会社へ行こうと、転職を決めました。

何もできない私を拾ってくれたのは、当時プログラマの確保に悩んでいたソフトウェア開発の会社でした。
薄給ではありましたが、この会社のきちんとした研修や勤務先の現場教育のお陰で、プログラミングのみならず、PCの基礎的なスキルと、エクセルやワードを使った資料作成など、ようやく一般的な社会人1年生と同じことができるようになりました。

学び

PCやメールに加えて、エクセル・ワード・パワーポイントなどに習熟することは、今後も必須だといえます。
それは営業職が、他者に情報を伝える機会が多い仕事だからです。自筆のお手紙を封筒に入れて送付するような報連相はちょっと考えにくいですよね。

また、転職そのものを運よく切り抜けても、その後の業務がうまくいきません。
私はソフトウェア開発会社で学ぶことになりましたが、手元にPCがあれば、下記のような書籍で学習することもできると思います。

ヒント2:特殊なスキル・資格は転職の支えになる

ソフトウェア開発会社で、PCスキルは着実に身についてきました。

一方で、将来への不安も出てきていました。
参画したプロジェクトがあまりに巨大で、当然ながらその中のごくごく一部の歯車としての仕事しか与えられなかったからです。
ここでキャリアを積んでも、歯車が少し増えるだけで、大きな変化は望めなさそうだ。せっかくなら、自分でビジネスを動かすようなチャレンジがしてみたい、と考えるようになりました。

…とはいっても、この時点でのスキルや経験は、ごく一般的な社会人の平均レベル。履歴書に書けるような突出した特徴がありません。

せめて何か資格にチャレンジしてみようと考えていたところ、アウトドアでも使えそうだ!という理由から、趣味と実益を兼ねて気象予報士をめざしてみることにしました。

2年ほどかけて資格を取ったころ、偶然にも、気象情報を使った新しいビジネスをやろうとしているベンチャーと出会います。

PCスキルと職務経験に加えて、資格も入手した私は、意外にすんなりと転職が決まりました。零細企業で雑用係をしていたころからは、履歴書もレベルアップした実感がありました。

入社した後、資格のもう一つのメリットに気付きました。
それは、「この資格を持っているんだから、優秀なんだろう」と周囲が勝手に勘違いしてくれた事です。
未経験にも関わらず、比較的大きな仕事も任せて(丸投げして?)もらえたことは、プレッシャーでしたが、とてもありがたい環境でした。

学び

この時点での私は中小企業へのチャレンジでしたが、大手企業を狙うならば、他にも大勢いるであろうライバルとどう差別化するかを考える必要があります。

営業職のお約束の売り文句は、「〇〇億円のビジネスをやっていました!」などなどですよね。
私は面接官もやったことがありますが、本当にゼロからそのビジネスを作ったのか、先輩からただ引き継いだだけなのか、証明するのが非常に難しく、決め手にはならないと感じていました。

一方で、資格や特殊技術であれば、一定程度の専門性を公的に証明してもらえていることになります。
この観点では、ある程度の難易度や希少性があるものが良い、ということになりますよね。
実際、その資格が仕事に直結しなかったとしても、特定の分野の専門家である、という良いレッテルを貼ってもらえます。

難関資格の勉強の仕方については、共通的なノウハウがありますので、また別に記事を起こしていこうと思います。

ヒント3:営業に加えて関連業務のノウハウも深めていく

ベンチャーの専門商社に、私は初めて営業職として入社しました。

ここで、それまで経験してこなかった、お客さまとのやりとりを経験します。
あまり上司に構ってもらえなかった私は、お客さまから大人気だった事務職のスーパーウーマンに師事して一から勉強しました。いまでもメールの文章はその人の書き方のままです。

色々教わる過程で、ビジネスマナーやわかりやすい資料の作り方、円滑な受発注プロセスなど、全てはお客さまへの気遣いが重要であること、これがひいては信頼関係につながることがよくわかってきました。

また、小さなスタートアップだったお陰で身についたスキルもあります。
営業担当者が、通常やる必要のない「周辺業務」のノウハウです。

多くの営業職は、既に出来上がっている資料フォーマットを使って顧客とやりとりを進めるものです。
でも、このころはまだ統一されたフォーマットもありませんでした。
私は仕方なく、協業先の企業にもアドバイス頂いたりしながら、自ら受発注関連資料や予算管理資料を整備していきました。
この時に、前職で学んでいた資料作成のノウハウが活きたわけです。

また、契約・著作権・広報など、大手企業であれば専門部署がやってくれるような内容も、営業活動の傍ら実施するしかありませんでした。激務ではありましたが、いつのまにか、広範な業務ノウハウを手にしていました。

これらのノウハウは、転職した後に極めて大きな効果を発揮します。
会社によってしくみは異なりますが、どの業務にも共通的な概念があります。これを理解できていると、常に先回りした準備ができるようになるのです。

仕事が早くなり、対応できる案件が増え、受注も増えていくようなイメージですね。

学び

誤解のないようにお伝えしますが、私自身は大手企業に勤めることが全ての点で良いとは考えていません。

キャリアのどこかでスタートアップや小規模な企業に勤めるメリットは、営業以外の業務にも直接的に関与できる点にあると思います。
本来業務以外のミッションが出てきても、将来役に立つかもしれない、という前向きな気持ちで対応されることをおすすめします。

特に、転職を考えているときには、「入れすればとりあえずなんでもいい!」モードになるのが常ですが、その後評価されるかどうかの方が、長いキャリアにおいては重要なのです。

こちらの記事で、理解しておくべき営業スキルをご紹介しています。
あなたの営業スキルのチェックに使ってみてください。

ヒント4:新しいビジネスへの挑戦は、身を助ける

ベンチャーだけあって、既に敷かれていたレールは少なく、自発的にビジネスを考え、失敗もしながら、お客さまに様々な提案活動ができる環境にありました。

既存のお客様に新製品を提案してみたり、既存の商品を新しいお客さまに提案してみたり、既存のお客さま・商品に縛られない新しい事業を考案したり…。

ベンチャー企業らしいアグレッシブな目標予算に到達できないこともありましたが、新しい分野のビジネスチャンスを作ることに情熱を注ぎました。働き方改革後の現在では考えられませんが、徹夜もたくさんやりました。

でも、この生活も5年とは続きませんでした。親会社の方針もあり、閉業を迎えることになってしまったのです。
このとき、私を育ててくれた恩人のひとつである協業先とも袂を分かつことになり、私たちは親会社の一部門に吸収されることになりました。

それでも、資格・PCスキル・営業や広範な業務スキル・新規ビジネスの構築ノウハウを身に付けていた私は、新しい会社でも活躍することができました。
移管されたメンバーの「食い扶持」を作るために、新規事業のノウハウをフル活用して、いったんは閉業となったビジネスを復興させることにも成功したのです。

学び

営業職の醍醐味のひとつが、あたらしいビジネスを作り出せる、という点だと思います。

マーケティングで有名なアンゾフのマトリクスでは、成長戦略を市場浸透戦略、新製品開発戦略、新市場開拓戦略、多角化戦略の4象限に分けて定義されています。

通常、営業職は市場浸透戦略を担当することが多いと思いますが、機会を見つけてほかの象限に挑戦してみると良いと思います。

 既存商品新規商品
既存市場既存市場に既存商品を売り込む
市場浸透戦略
既存市場に新規商品を売り込む
新商品開発戦略
新規市場新規市場に既存商品を売り込む
新市場開拓戦略
新規市場に新規商品を売り込む
多角化戦略

営業として割り当てられた目標数値(予算)を達成できるかどうかは、運も多く影響します。
これを補うための創造的な企画・提案活動は、ときにその数字の達成よりも大きな価値を持つことがあります。

この成長戦略の採り方のみならず、マーケティングの知識は営業職にとって非常に有用なものです。初級編の書籍をご紹介しますが、より専門的な書籍や研修の受講にステップアップされることをおすすめします。

ヒント5:日々の業務をおろそかにしない

別々の道を行くことになってしまった協業企業のメンバーは、スタートアップ閉業後もずっと私の事を気にかけてくれていました。
そして、転職してこないかと誘いを頂くことになりました。

ベンチャー企業で勤めていたころ、上司の指導もあまり受けられず、営業初心者だったこともあり、失敗もたくさんしていました。自社が起こしたトラブルの謝罪の場で、顧客の発言に憤慨して口論になったことさえあります。

後に聞いてみたところ、そんな逆風の状況下でもでも心折れずに、少しずつ成功事例を作っていたことを評価してくれていたようです。

このとき所属していた会社には満足していましたが、自分で再構築したビジネスが軌道に乗ったこともあり、この協業先からのお誘いに甘えて、転職することにしました。

学び

見ている人は、見ている

昔からよく言われる言葉ですが、これは真実です。
営業職は自らの成績をいつでも思い通りにできるわけではありません。リーマンショックやコロナショックでもそうだったように、時の運にも多分に左右されます。

そのような困難な状況にあっても、くじけず前向きに努力し続けることで、思わぬ副産物を生み出す可能性さえあるのです。

簡単なことではありませんが、苦しい時期にも決して腐らず、嵐が過ぎ去るのを信じて、日々の業務を進めましょう。

ヒント6:社内外に人脈を広げて仲間を作る

私は転職先でも、与えられたミッションに加えて、また新しいビジネスへの挑戦を始めます。

新たに着手したビジネスは、国内外でもまだ草創期のテクノロジーをつかったもので、数字面では全く成果が出ませんでした。
苦しい日々が続きましたが、勤務先が属する企業グループでの会合や、展示会・セミナー・各種イベントへの参加など、情報収集を進めるうちに、会社を超えて志を同じくするメンバーが集まるようになりました。

いつのまにか、仕入れ先や顧客、販売店、果ては競合他社も含めて、社内外に広範な人的ネットワークができるようになっていました。

また、自社が所属する企業グループの合同会議に、マネージャーではないにもかかわらず自社のプロジェクト代表として出席するようになり、普段は会うことさえできないような、グループ本体の幹部も私の事を知るようになっていきます。

さらに、私が個人的に知り合った社外メンバーと、その幹部たちとの会話の中でも、私の事が話題に上がるようになっていきました。

学び

人脈を広げていくことは、最初は努力が必要ですが、徐々に加速度的に広がっていきます。
新規分野における人脈形成のステップを、例としてご紹介します。

  • 関心がある企業のWebページの問い合わせフォームや、展示会での名刺交換などから接点を持ち始めて、担当者からの連絡を待つ
  • 担当者からの連絡があれば、直接会いに行く
  • 話が盛り上がり、一緒に会食に行く
  • 相互に、新しいメンバーを紹介してコミュニティが広がる

この過程で最も重要なのは、最初に接触するときは、直接会うこと、です。
決して電話やリモートだけで済ませず、相手の表情を見て、雑談などもしながら信頼関係を構築しましょう。

どんどん広がるコミュニティに、頼りにしたいと思っている人物(転職を希望する会社の幹部など)が入ってくるとしめたもの。あなたの噂が耳に入るはずです。

人は、同じ話を別々の人から聞くと、これを真実ととらえる傾向がある(真実性の錯覚)ため、これを聞いたその人物は、あなたの評判を信ぴょう性があるものとして受け取ってもらえるかもしれません。

ヒント7:評価してくれる幹部をみつける

ここまでで、私は、PCスキル・資格・営業スキル・企画力・契約などの関連知識などを身に付けています。
さらに、業務に特化した知識やノウハウ・人脈があることで、親会社の幹部から直接声をかけてもらえるようになってきました。

私が所属していた会社は、企業グループ内では小規模で、自らが企画した大掛かりなプロジェクトを自社では引き受けられないという事情がありました。グループ本体の幹部からも、「うちでやってはどうか」というお誘いを頂くようになり、転籍への希望を伝えていきます。

でも、実は最もハードルが高いのがここからです。

大企業であるほど、人材採用のプロセスが厳格で、専門部署がこれを管理し、一定の基準以上の者しか採用しないというポリシーがあります。

これを突破するためには、私の採用を検討してくれた幹部や現場マネージャーが、さらに上位層や人事部と掛け合って、採用の必要性を説得して頂くほかありません。

実は、この時点から私ができる努力はあまり多くありませんでした。
むしろ、これまで私が積み上げてきたものが、客観的にも十分なものだったのか、審判を待つばかりだったのです。

説得に当たってくださった幹部やマネージャー、援護射撃をくださった様々な関係者のお陰で、私は無事に転籍を果たしました。

学び

この段階は、「運を天に任せる」にならざるを得ないフェーズです。
これまでにヒント6までをしっかりクリアしておく必要があります。
客観的にも、コイツが必要だ!と思わせる必要があります。

また、採用してもらいたい会社での人脈を形成する際、可能であれば、幹部クラス(役員や事業部長クラス)と面識を持っておくことをお勧めします。

大企業の多くに採用されている事業部制では、意思決定のスピードを上げるために、事業部が独立して行動できるように多くの権限を与えています。人事権もその一つです。

採用活動は企業にとっても大きなギャンブルにもなりえるため、慎重であることがほとんどです。
そんな中で、スムーズに採用頂くためには、人事部門など採用プロセスにある部門に対して、効果的な口添えや推薦をしてもらえることが不可欠なのです。

また、評価についても客観性を問われるため、ここでも資格や特殊技能、新規事業の経験などが効果を発揮します。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

これまでのヒントをまとめてみるとこのようになります。

  • ヒント1:PCスキルがないと雑用係もできない
  • ヒント2:特殊なスキル・資格は転職の支えになる
  • ヒント3:本業である営業職としてのノウハウを広げていく
  • ヒント4:新しいビジネスへの挑戦は、身を助ける
  • ヒント5:日々の業務をおろそかにしない
  • ヒント6:社内外に人脈を広げて仲間を作る
  • ヒント7:評価してくれる幹部をみつける

すべての人に適用できるわけではないかもしれませんが、私はこの方法で転職を成功させ、安定的で十分な収入を得ることができました。雑用係のころから比べると、年収は3倍を超えています。

多くの人の力添えがあったことも重要な事実ですが、基礎的なスキルも伴っていなければ、周囲の人も手を差し伸べてはくれなかったと思います。
助ける価値があるように、我々自身が成長する必要があります。

このやり方は、転職サイトやエージェントなどによる効率的なキャリアアップのバックアップになりえます。やって損はないものばかりですので、確実なステップアップのためにぜひ、自力によるキャリアアップもすすめてみてください。

採用する側のミスリードが少ない分、転職後に失望される可能性も低く、トータルではリスクの低い転職活動になれるかもしれません。

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